2011年5月30日月曜日

自己啓発は害悪である。

自己啓発本が大変なブームであるようだ。
私も2,3手に取ることがある。


殆どのものは
自分の行動のマネジメントには誠に結構な本である。
実に役に立つ。


でも自己啓発とは意識して距離をもっていないと、大変なことになってしまう。


そうやって、「役に立つ自分」を一所懸命作っていると、
役に立たないもう一人の自分が、むくむく起き出して言い始めるのだ。


「何なんだこれは。これをやってどうなるんだ。これはお前が本当にやりたかったことか。」


分別めいた、小ざかしい新聞の社説みたいことで自分を覆ってどうするというのか。


心の底から、肉体から、肉体の裏側の川のようなところから、流れ出てくるものを感じているのなら、生活上の行動規範や、社会的な成功や、人間関係をスムースにする方法など
一体、なんの意味があるというのか。


その意味で自己啓発というものは、害悪になりこそすれ、益になるものではない。


自己啓発とは、本当の自分から目を背けさせる装置なのだ。
人間の心の底は、生産的でも平和的でもない。


「役に立つ自分」をつくればつくるほど、
もうひとりの自分は、暗闇に押し込められ
表に出ないようになり、
食事も与えられず、
かさかさに乾いて
いつか死んでしまう。


人間は無条件だ。
何もしていなくても、なんの価値もなくても、
何も生産していなくても、ただそこにある。生きて動いている。
よくも悪くもなく、他と変わらない。



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