2020年8月17日月曜日

戦争はなぜ起こったかの調査シリーズ 「日米開戦の正体」

 前表紙

日米開戦の正体  なぜ真珠湾攻撃という道を歩んだのか  孫崎享 著

さまざまな資料や著書から拾ってきたものを集めて構成している。

日露戦争直後から、日本は目をつけられていて、アメリカは、どのようにして日本に先制攻撃させるかを練っていた。日本はそれに載せられた。という論旨である。

2020年7月23日木曜日

「Centers」と「侍女たち(ラス・メニーナス)」

ビデオ作品「Centers」と、ベラスケスの「侍女たち(ラス・メニーナス)」
Webサイトによる展覧会を開催中です。「新しい空間の快楽」https://te-tajima.wixsite.com/mysite

その中のビデオ作品「Centers」についての新しい解説。 主体による造形ということを説明するのに「侍女たち」は良く知られているので便利なのでこれで説明します。 「侍女たち」の場合、 本来絵の外部にいるはずの3つの主体、「画家」「モデル」「鑑賞者」が、絵画の中に取り込まれています。 1 画家= 絵にかき込まれている画家(ベラスケス)本人 2 モデル= 中央の奥にある鏡に映る王  3 鑑賞者= 開かれたドアの向こうで、室内に起こっている全てをみている男 外部にあるはずの3つの主体が絵画の中に取り込まれていて、あたかも絵の外側は存在せず、全ては目に見えるように表されています。ミシェル・フーコーの「言葉と物」によれば、このようにすべてを一覧表のように表すことが、17世紀の基本的な世界の捉え方なのだそうです。 「Centers」の場合、 「Centers」は、巳巳がYoutubeに流れている渋谷スクランブル交差点のライブカメラを指差す様子を、手に持っているiPhoneのスクリーンキャブチャーで撮った映像です。 1 画家=映像の中でiPhoneのスクリーンキャプチャーをしている巳巳 2 モデル=映像に映る巳巳。 鏡=カメラを差す指(象徴的に視線を投げ返している) 3 鑑賞者=これも巳巳です。なぜなら、このビデオ作品は巳巳の持っているiPhoneのスクリーンキャプチャーによって撮られており、その画面を鑑賞者が共有しているからです。それは、「侍女たち」において後ろからすべてを見ている「3 ドアの向こうの男=鑑賞者」と同じです。 つまり巳巳が画家、モデル、鑑賞者(そして鏡)の3役(4役)をやっています。外部にある主体がすべてビデオの中に入っており、このシンプルな構造の中に原理的に「侍女たち」の表象空間と同じものが再現されています。 ただ違うのは、ビデオに映っている通行人です。 彼らの大部分はスマートフォンを持ち、この映像を見る潜在能力をもっています。 したがって通行人は「侍女たち」の「ドアの向こうの男」と同じような鑑賞者になり得ます。 そして通行人の誰もが巳巳と同じように、カメラに撮られることによってモデルになり、画面キャプチャーによって画家になり得ます。 そして、巳巳の指は、まっすぐに鑑賞者(つまりあなた)を指差しています。 表象されるのはあなた自身です。 あなたはこの空間に取り込まれています。

2020年1月4日土曜日

初夢未来予想

初夢未来予想(国際編)(長文です)
明けましておめでとうございます。
突然ですが、お正月だし、ここはひとつ思いっきり明るい未来予想の話をしようと思う。
これから話すのは今から50年後、2070年の世界です。
「こうあって欲しい」という姿をあえて思い描くことで、もしかしたら少しでもそれに近づくかもしれません。
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【概要】
2070年、世界的には貧困も格差も2020年の状態からはるかに改善され、深刻な問題ではなくなっている。
戦争や紛争もない。もっとも大きな変化は、世界から国家も国境も無くなったことだ。
行政単位としての国はあるのだが、大きな自治体という程度の機能となってしまった。
最高の決定機関は国際連邦である。それぞれの国には、もはや独自の軍隊は存在しない。
世界人口は約100億人で平衡状態に入っている。
温暖化の問題は、脱炭素社会が2030年までに目処がつき、気温上昇は産業革命以前の±ゼロに抑えられている。
【国際連邦】
最高の決定機関は「国際連邦」となっている。
21世紀になってからずっと、環境、食糧、経済問題は、国の単位で考えることに限界があることは明らかとなり、
国際的な意思決定がますます重要になってきた。
そんな中、国連の機能が徐々に強化されていき、ついに2040年に環境と経済問題を主導する連邦政府が樹立された。
連邦政府の政策は国際協力によって作られたAIが立案するが、AIは可能な政策とリスク分析をするのみで、政策の決定は人間の連邦議会が行なう。
連邦政府はつぎつぎと効果的な施策を実行してきた。
途上国は飛躍的な経済発展を遂げ、先進国と途上国の経済格差が無くなり、先進国、途上国という言葉も死語となった。
各国政府は、特に既得権益が強い国ほど、国際連邦政府の方針を受け入れることに抵抗を示したが、
連邦政府の施策を受け入れる国は、次々と問題を解決していったので、最終的には連邦政府に組み込まれざるを得なくなった。
当初は連邦政府の独裁を懸念する声もあったが連邦政府の調整能力は抜群で、環境・経済の問題以外は各国の自治なので、これまで一度として強権を使うことはなかった。
【国境の解除】
自由貿易は拡大をつづけ、資本も労働力も物品も移動に制限がなくなった。
一方で貧しい国がどんどん豊かになっていったので、経済難民も出稼ぎ移民の問題もない。
犯罪も極端に少なくなり、伝染病も最近20年間発生していない。
こうして次第に国境には意味がなくなっていったのである。
もう一つ、人々の土地に対する考えが全く変わってしまった。「土地を所有する」という考えは過去のものとなった。
土地に付随する水資源や天然資源も同様である。
基本的に全て土地は共有であり、個人や法人は、自治体から土地を借りて運用している。
土地は資産ではなく、相続するものではなくなった。もちろん、土地に投機はできない。
それとともに、領土という考えも古いものになってしまった。すべての土地は最終的には国際連邦のものであり
国境紛争というものも意味がなくなった。
土地の観念が根本的に変化したので、土地に根差したあらゆる問題は無くなってしまった。
大国が地域の紛争に関与する地域紛争は無くなってしまい、紛争に基づく憎悪も無くなり、
その結果、テロ組織も消滅した。
帝国主義時代に、列強によって無理やり引かれたアフリカや中東の国境線は長い間紛争のタネとなっていたが
国境に意味が無くなったので、問題自体が無くなってしまった。
バレスチナ問題も解消し、いまやパレスチナ地域ではアラブ人とユダヤ人が混ざり合って生活している。
【国家の武装解除と連邦への移管】
2040年ころから、各国は段階的に軍事力を連邦政府に移管し、唯一軍事力を有しているのは連邦のみとなった。
2050年には、戦争を含めたあらゆる人為殺傷を国際犯罪とする国際連邦法が施行された。
人類は、初めて戦争をすることそのものが犯罪であるという時代に入ったのである。
【経済格差の解消】
貧困は過去のものとなり、貧しい地域と富める地域の格差はいまやほとんどない。
資本主義も大きな変化があった。
株価に変わる、社会貢献度と信用度を示す指標が導入され、その会社がいかに社会に貢献するかということが高い要因で反映されるようになった。
従業員自身の評価もそれに反映され、過酷な労働をさせることは制度的に不可能になった。
行き過ぎた格差も是正されている。
その地域の平均収入の100倍以上の収入を得ることは違法となったので、企業のトップは毎年所得の調整をするようになった。
【教育、文化、医療の発展】
極度に進んだグローバル化の反動で、地域の文化に立ち返る動きも盛んになっている。
自民族の伝統衣装を着ることを楽しみ、世界中で古典芸能がかつてないほど盛んになっている。
教育は知育よりも、感情教育に重きが置かれるようになった。感情を安定させ、自己肯定するスキルである。
虐待などで心に傷をうけた子供が将来子供にネガティブな感情を植えつけないようにするためである。
負の感情の連鎖は止められ、犯罪の発生は極端に減り、自殺も劇的に少なくなった。
医療も進歩し世界の平均寿命は120歳程度である。
【さらなる未知の領域へ】
人類は初めて、戦争も貧困も憎悪もない社会を実現した。すべての人がその成果を誇っている。
そして人類はさらなる挑戦を始めている。
火星移住計画は10年前から進行している。
さらにもう一つ、2060年、50光年離れたところの天体から知的生命体からと思われる通信を得ている。意味の解読はできていないが自然にはありえない配列であり、知的生命体から発せられたものと間違いない。研究チームが組まれ、通信の解読と返信をどうするか研究を重ねている。
地上の問題を解決した人類は、あたらしい領域に踏み出した。





初夢未来予想(日本編)
ニュースによるとアメリカがイランの司令官を殺害し、両国の関係はさらに悪化している。
正月からどうも殺伐とした話だが、しかし私はあえて申し上げたい。明るい未来を。
昨日の国際編に続き、今日は2070年の日本の明るい未来予想です。
「くだらない夢物語」と思うかもしれませんが、私は「あり得る」、いや「本当にしたい」と思っています。
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【人口・労働】
日本の人口は8000万人で平衡状態にある。
21世紀に入って日本の人口は減少していったが、人々は懸命に創造的な仕事を続け、一人当たりのGDPはむしろ上がっていった。
2025年から段階的クオータ制によって、2040年には国会も地方議会でも男女比は50%となった。
偏りのある労働採用は見直され、正規/非正規という言葉は遥か以前に死語となっている。
人々はどの年齢の段階からでも再教育や、やりなおしができるようになっている。
専門性の低い仕事はロボットが主に行い、人間はそのロボットを制御する仕事が主要な労働となっている。
社会は効率化され、一日に4時間程度働けば必要な収入は得られる。
多くの人がスポーツや文化的な活動に時間を費やすようになり、それがまた新しい経済活動を生んでいる。
一方、介護、教育など、人間が直接行なわなければならない仕事は専門職として高い収入が得られるようになっている。
【多様性を認める社会】
同調圧力が強いと言われたかつての日本社会だが、いまや学校では様々な人種と民族、宗教の子供が教育を受けており
多様性は当たり前となっている。他人と同じであることはむしろ恥ずかしいという風潮になっている。
感情を安定化する教育が広く行われ、それは社会を人々の心の深いところから変えていった。
いじめ、自殺、鬱、引きこもりなどは極度に少なくなっている。
若者も中高年も、自分を他人と比較することはなく、自分のやりたいことを思う存分でき、それを支援する制度も整っている。
日本国民全体の顔に自信がみなぎり、自分たちが作ってきた生活や文化に誇りをもっている。
【東アジア圏の国境解除】
国際連邦の設立は東アジアにも強い影響を与え、
北朝鮮は金政権が2030年ころから開放路線をとり、韓国と国境を開き朝鮮半島が統一されたのは2050年である。
思想の自由を基調とする連邦と中国共産党は対立すると思われたが、中国共産党が段階的民主化の政策に踏み切ったので
2050年には中国共産党は民主政権となり、中国は民主化した。
2060年には中国も国境を解除した。
【日本近代史の編纂活動】
日本は明治以来の、特に第二次大戦までの歴史を本格的に認識しなおすこととなった。
2025年、政府主導の日本近代史研究会が発足し、公的な歴史書を編纂する活動が始まった。
特にアジア太平洋戦争に至った経緯については、東京裁判で戦勝国に裁かれるという形で終わってしまっていたが、
公式に初めて日本自身の手でその原因や経緯を詳しく深く分析することとなった。研究会には諸外国の歴史研究者も加わった。
そして2045年、第二次大戦終結100年の年に、「日本近代歴史書」が完成し、データベースで公開された。
考察は広く深く及んでおり、歴史書というより哲学書といって良い内容である。
この書は教育の場で共有され、日本国民全体に、歴史に基づく哲学や倫理を根付かせることとなった。
この日本の真摯な態度を諸外国も高く評価し、諸外国との関係は深い意味で改善されていった。
【人生の回帰】
ところで私、巳巳は2070年には100歳を超えているが存命である。抗老化薬によって50歳程度の体力を維持したまま生活している。
2070年では、抗老化医療の発達で、生きようと思えばいつまでも生きていることができる。
したがって、死ぬ時を自分で決めることができるようになった。
死という言葉の代わりに「回帰」という言葉が使われる。それは人生で何か事を成し遂げ、自らの意思で尊厳的に生を終結させることを意味する。
周囲に回帰を宣言して、眠りにつく。葬儀は卒業式のようなもので、むしろ祝い事となっている。
私は150歳で回帰すると決めている。