2011年10月29日土曜日

沈黙について

ジョン・ケージの伝記を読んでいる。
ジョン・ケージといえば、私が薫陶を受けたマリナ・アブラモビッチが師と仰ぐ人である。

あの記念碑的な作品、“4分33秒”の誕生についても詳しく書いてある。
もちろん、“4分33秒”は、思いつきで生まれたのではなく、
東洋思想の深い理解から生じた作品である。

楽器が何も音を出さないことによって、ざわめきや風などの周囲の音を聞くことがその意味であるとのことだ。

さて翻って我々の生活には、なんと沈黙が少ないことであろうか。
また、町並みにしても、車道、歩道、家、塀、駐車場と、意味でぎっしりと埋め尽くされて
なんと窮屈なのだろうか。

私たちはそこに無理やり穴を開け、沈黙を流し込む必要がある。
私たちは息をする必要があるからだ。


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