2011年6月9日木曜日

「神の肉体 清水宏保」 という本

前回紹介した新聞の清水宏保氏の記事を読み、彼について書かれた本「神の肉体 清水宏保」という本を読んだ。
清水氏が身長差のハンディを乗り越え、スピードスケートで金メダルを取れたのは、彼が常人はずれた努力家で、医学部の学生といっしょに解剖の授業を受け、身体を隅々まで研究したからである。
まさに考えるアスリートである。
彼の深層筋や神経まで自覚する能力には驚嘆させられる。
しかし、清水氏のあまりのストイシズムに、ついていけないところもある。
これは、私の目指す 自然―身体―精神―社会 を貫くこととは、違ってくる。
清水氏のやり方は一般化できない。
この本の終盤、「ゾーン」といわれるスポーツ選手が調子の良いときに体験する特殊な精神状態について述べられている。そして清水氏は自覚的にゾーン体験を引き寄せることができるという。
これは、一種の神秘体験であり、それを味わうと、それにひきづられ、またその体験をすることに大きな意味があるように誤解してしまう傾向がある。


釈迦が過酷な修行をした挙句、これは意味がないとしたのと同様、激しい訓練や神秘的な経験を絶対視するのは生産的なことではない。
もちろん清水氏はそのことをわかっているだろう。
しかしこの本の著者は、ゾーンにハマッっているようだ。
身体を研鑽するものにとって神秘体験は鬼門である。気をつけなければならない。



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